チョコレート製造の知識④ ココアバターの特徴

新しいチョコレート研究開発

チョコレートの主要な原料の一つとして、植物油脂が挙げられます!
チョコレートの30~40%程度は油脂なので、チョコレートの性質が大きく変化しやすい原料の一つであり、

チョコレートを食べたら、口の中でスッと融ける滑らかな口どけは、「ココアバターの性質」のおかげです!

今回は、「ココアバター」の魅力について、みなさんに紹介したいと思います!

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ココアバターとは?

ココアバターとは、カカオ豆に含まれる油脂のことです!

「カカオのビックリ知識④ カカオ豆の加工~ロースト~」で、カカオ豆をカカオニブまで加工した後に、
磨砕機ですりつぶすと固体のカカオニブから粘度のある液体、カカオマスになると言いました。

ドロドロとした液体になる理由は、カカオニブの中に約55%、ココアバターが含まれているからです!

市販のココアバターは、そのカカオマス中の固形分を取り除いたものです。

(みなさんの驚き)

カカオニブには、そんなに多くの油脂が入っているんだね!

★チョコっと知識
カカオマスからココアバターを取り除いた固形分は後に、「ココアパウダー」となります!
みなさんが大好きでよく飲んでいる、あの「ココア」です!

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ココアバターの性質

ココアバターの性質を考えることは、チョコレートを食べたときの口どけを考えることと同じと思います。
一般的にココアバターの融点は33.8℃ですが、ココアバターの大きな特徴は、その「融け方」です!

室温(約28℃)では固まった状態ですが、人間の体温より少し低めの温度(32~33℃程度)になると、急速に「固体」から「液体」になります。

体温近くで一気に融ける植物油脂はココアバター以外にはなく、非常に独特な性質を持つ油脂といえます!
 

★チョコっと知識
他の油脂の融け方を一部紹介いたします。
・ヤシ油(ココヤシの果実であるココナッツの種から採取できる油脂)
20℃以下では固体ですが、20~25℃でクリーム状になり、25℃以上で液体になります。ココアバターとは異なり、室温では緩いクリーム状の油脂です。

・パーム油(アブラヤシの果肉から作られる油脂)
世界で最も生産されている植物油脂です。
マーガリン、ショートニング、石鹸の原料として利用される油脂で、火力発電やバイオマス発電の燃料としても利用されています。
融点が37℃前後であり、口に入れるてもココアバターほど一気には融けません。
しかし、油脂中の成分を低・中・高融点の成分へ特殊加工して分画したパーム油を、チョコレートの口どけ具合を変化させる油脂として使われることがあります。

・菜種油(アブラナの種から抽出した油脂)
室温で液体の油脂です。
・バター(乳脂)(牛乳から分離したクリームを練って固めた油脂)
ココアバターは体温付近で一気に融ける「タテ型」に対し、バターは、温度上昇に伴って緩やかに融けるため「ヨコ型の油脂」と呼ばれています。
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ココアバターは6つの結晶形がある!

ココアバターには、6つの結晶形があり、その結晶形の中で、チョコレートに適した形は「Ⅴ型結晶」のみです!

この「Ⅴ型結晶」にするためには、「テンパリング」が必要で、職人のようなテクニックが必要ですが、
詳しい内容をこちら「チョコレート製造の知識③ テンパリング工程」に記載したので、ぜひ読んでください!

ココアバターの恩恵

ココアバターが体温より低めの温度で、急速に完全に融けきることができるからこそ、
チョコレートを口に入れたときに感じる、滑らかな口どけ感が楽しめます!

「体温に近い温度で融ける」という性質を生かして、ココアバターはチョコレート以外の製品にも広く活用されています。
例えば、座薬などの医薬品や口紅などの化粧品の原料にもなっています。
 

次回のお話

ココアバターはチョコレートらしさを与えてくれる必須な原料であることだけでなく、

その恩恵を受けているのはは食べ物だけではないところも「すごみ」を感じます。

しかし、「ココアバター」は、他の植物油脂に比べて生産量が少なく、高価です。
そこで、安価でチョコレートらしさを手に入れることができるココアバター代用脂の登場です!

次回は、「ココアバター代替脂」について説明いたします!


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