宇宙食とは何か③ | 宇宙食の種類 編

宇宙食調査

宇宙食には宇宙環境での健康維持と宇宙に持っていくときの制約があります。(詳しくは「宇宙食の役割と求められること」)

そんな宇宙食にはどのようなものがあるのでしょうか?
今回は「宇宙食の種類」について学びます!

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宇宙食の種類

現在、宇宙食には以下の種類があるそうです!

加水食品

水やお湯で復水して食べる食品です。例えば、凍結乾燥(フリーズドライ)食品などです。

スープやご飯類、お茶やジュースなどの粉末飲料も含まれます!

★凍結乾燥(フリーズドライ)食品とは?
フリーズドライ食品とは、食品の中の水分を凍結させた後、その凍結させた温度のまま真空状態にしたときに、

食品の中の氷が「昇華(氷→気体の状態変化)」によって水分を取り除いた食品
のことです。
できた製品の重量が大幅に減少するので、ロケット搭載重量に制限がある宇宙食としては最適な技術です。
低温で全ての工程が行われるので、風味や栄養素の変化がほとんどないことも利点です。しかし、「フリーズドライ技術」にかかるコストは非常に高いとのこと…
★フリーズドライ食品を喫食するときは?
フリーズドライ食品を食べるときは、
ISS内には専用の給湯器があるので、プラスチック容器に水もしくはお湯を加えて、地上で食べるような姿に戻してから食べます。
そのプラスチック容器は注水しやすいように、「注入口付きの容器」となっています。

温度安定化食品

レトルトパウチ食品や缶詰など、レトルト殺菌技術を使用した食品です。
ステーキやチキン、ハムなどの肉料理のほか、ツナやイワシなどの魚料理などがあります!

開封してそのまま食べられるほか、ISS内には専用のフードウォーマーがあり、温めて食べることもできるそうです!

(イメージ図)

放射線照射食品

放射線照射(ガンマ線)で殺菌することにより、風味を損なわないで長期間保存できるようにした食品で、ステーキなどの食肉加工品があります。

自然形態食品・半乾燥食品

そのまま食べられる加工食品です。
ナッツやキャンディなどのお菓子のほか、ドライフルーツやビーフジャーキーもあるそうです!

調味料

食品の味付けをするために、塩・コショウ・ケチャップ・マスタード・マヨネーズなどの調味料も宇宙食になっています!

塩、コショウなどの粉末状の調味料は、無重量空間で飛び散らないように、「液状」にしたものを使用しているとのことです!

生鮮食品

オレンジやリンゴ、グレープフルーツなどの新鮮な果物や、キュウリ、トマトなどの生野菜も宇宙に持っていけるそうです。

しかし、賞味期限が限られているので、傷まないように早めに食べることになっているのだとか…!

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各国の宇宙食

各国でバラエティ豊かな宇宙食が開発されています!!

NASAの宇宙食

NASAの宇宙食は、レトルト食品やフリーズドライ食品が多いそうです!
また、水分活性が低い食品も採用されているそうです。

NASAの宇宙食には、例えば、オレンジジュースやレモンティーのような飲み物や、
ロールパン、トルティーヤなどのパン系、コーンフレーク、グラノーラなどのシリアル系、
ビーフステーキ、マッシュポテトなどが宇宙食になっているとのことです。
 

★水分活性とは?
食品中の水分は食品成分と結合した「結合水」と食品成分と結合しておらず、微生物が利用可能な「自由水」からなっています。

水分活性とは、「自由水(微生物に利用される水分)」の含有量を示す尺度のことです。
水分活性が高いほど、微生物が増殖しやすいのでその食品の保存性は低下します。
水分活性は0(水分の無い食品)~1(純水)の数字で表され、肉や魚など生鮮食品は0.97以上、せんべいのような乾燥食品は0.6以下です。

一般的に0.8以下では微生物は繁殖しない環境とのことです。

NASAの宇宙食はアメリカ・ヒューストンにあるジョンソン宇宙センターに設置されたフードラボで試作が行われ、様々な検査を経て、ジョンソン宇宙センターに隣接した協力工場で製造されるそうです。

果物などの生鮮食品は、ロケット打ち上げ直前に、殺菌水(次亜塩素酸)で殺菌してから打ち上げるそうです!

ROSCOSMOSの宇宙食


ROSCOSMOS(ロシア宇宙庁)の宇宙食も基本的にはNASAと同じような宇宙食であり、その製造は、ROSCOSMOS直属の工場で製造されるそうです!

ROSCOSMOSの宇宙食には、例えば、果肉入りリンゴジュースなどの飲み物や、
ビーフシチュー、オートミール、チキン、ライ麦パン、なすのパスタなどがあるそうです。
 

その他の国の宇宙食(ボーナス食)

ISSは国際的運用なので、各国の宇宙飛行士が集まってきます。
国が違えば食習慣も違うため、宇宙飛行士の希望で「故郷の味」の持ち込みが「ボーナス食」として許可されています。

●フランス
ブルターニュ地方のロブスター、野菜とトマトのフォンデュ、とうがらしコショウなど

●イタリア
オリーブ、フィットチーネ、リゾット、ドライトマトなど
 

●カナダ
カナダ西海岸産サーモンパテ、イワナのジャーキーチップス、クスクスのモロッコ風ソース和え

ISS長期滞在ミッションの初期当時の食事メニューは、10日間のローテーションで組まれていて、
5日間ごとにNASA、ROSCOSMOSの宇宙食メニューが交互に出されていたそうです。
その後、ISS長期滞在宇宙飛行士が、「宇宙食のバラエティを増やすこと」を強く要望したことにより、
ISS宇宙食供給の基準文書「ISS FOOD PLAN」が整備されて、ISS計画に参加する各国がISSに宇宙食を供給できるようになり、
食事メニューのローテーションも16日間となり、欧州宇宙機関(ESA)や日本の宇宙食も登場するようになったそうです。
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まとめ

宇宙食には、いろいろな形で宇宙へ安全に届けるための工夫がされていますね!

そして、宇宙食の幅は、NASA・ROSCOSMOS中心からボーナス食として世界各国のふるさとの味が楽しめる宇宙食へ広がりつつあることも分かりました!

宇宙船を小さな地球と捉えると、その中で自身の郷土食を紹介しながら食べられる宇宙食を通して、世界中の人々がより仲良くなる世界が作れると感じました!

宇宙食は、世界をつなげる役割も担えると思います。

次回は、日本と世界をつなげる架け橋の一つとなるであろう「宇宙日本食について」ご紹介します!

乞うご期待!




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